川獺の外部記憶

なんでも残しておく闇鍋みたいな備忘録

未経験からの脱却に対して

半年ほど頭ひねりましたが面白いものは出てきませんでした。 そして偉そうなこと言っていますが私も半人前です。

ものづくりと呼ばれるジャンルでよく言われる未経験の壁についての私見です。そしてほとんど愚痴。

自分でそうは言いたくないのですが、どうにも自分は相対的に脱却してる側に近いようなのでそちらの立場からです。井の中の蛙と笑ってください。

昔話から。

学部2回の頃、組込みベースのシステムの開発に誘われた時が未経験からの脱却ポイントだったと思います。

人手不足のプロジェクトで、ソフトエンジニアとしてまともに実働できるのは私程度、そのままの勢いで結局エレキエンジニアやメカエンジニアも同時に兼任してました。昼間はフライス回して、夕方は半田付けして、夜中はコーディングするような状態。しかもほぼ未経験の普通の大学生が実務の勉強する暇もなくです。言うまでもなく結果は酷い物でした。

そのプロジェクトで私が作ったものは「仕様からズタボロで辛うじて動くPCソフトウェア」「本番で火を噴いた組込みモジュール」「折れたタップの刺さったメカ機構部」「ぎすっとしたチーム」とどう考えても最悪以外のなんでもない結果。このころは絶対メーカーなんかに就職するものかと心の底から思ってました。なんでこうなったんでしょうね。

その頃のことを思い返してみると、まあなんというか色々と無茶振りされても自主的に意思決定するしかなくて、その決定の責任は全部自分で取るしかなかったんだなぁという気がします。勝手に抱え込みすぎてただけかもしれませんが。 ソフト担当だから回路わかりません、なんて言える状態じゃなかったです。あとは良かったところとしては実際にシステムに触れてる時間が今より圧倒的に多かったです。

少し飛躍しますがこんな昔話から、未経験からの脱却のためには「ものづくりのことを考えている時間」「自主的な意思決定の回数」の2つなんじゃないかなと思っています。

で、それを社会人になってから稼げるかという話です。

ここからは日本の製造業の問題点かもしれませんが、未経験で入社した新人が主任クラスになるまでの5年間、「経験を積んだ」というにはあまりに短すぎると思います。その期間ずっと1人でシステム全体を作り続けたとして、学生の5年間*1に敵うかすら怪しいです。最低限、環境に時間的リソースが必要になります。また、責任ある立場の人が重要な意思決定を未経験者に任せるのはものすごく精神負担が大きいはずで、環境に精神的リソースが必要になります。

本来ならば新卒採用をしている企業は未経験者を育てるために5年程度はこれらの周辺リソースを無尽蔵に提供するべきだと私は考えますし、自分の裁量で振り分けられる資源はそのように扱っているつもりです。

が。まあ現実がどうかなんて言うまでもないと思います。 現状を変えたいのは山々ですが無い袖を振れないのもわかるので八方塞がり。

学生の頃からTAや後輩指導などに関わって、未経験者の補助輪になることを技術者として生きる目的の一つにしてきました*2が、自分が社会人として後輩指導やる頃まで気力がもつかなこれって感じですね。

なんかいい未経験からの脱却方法あったら教えてください。

*1:自分の実務経験はコーディング時間だけで軽く見積もって5000時間です。これは5年だけではありませんが参考値として。

*2:ラボの先生に進学相談した時に「その思想で進学すると辛いだけだぞ」と言われたのがいい思い出です。